2017.05.24
「サケ鼻軟骨プロテオグリカンによる腸内細菌フローラの変化」と「上皮細胞における毒素性ショック症候群毒素-1 によるオートファジーの抑制」
平成29年5月24日(水曜日)
弘前大学大学院医学研究科 感染生体防御学講座
浅野 クリスナ 先生
タイトル 「サケ鼻軟骨プロテオグリカンによる腸内細菌フローラの変化」と「上皮細胞における毒素性ショック症候群毒素-1 によるオートファジーの抑制」
プロテオグリカンの抗炎症の作用メカニズム解明について、共同研究を行っています。また、浅野先生は一般的には悪玉菌と呼ばれる病原性細菌メカニズムについてのトップレベルの研究者です。プロテオグリカンの作用機序の一つである腸内環境(腸内細菌叢)への作用について、最新の知見をご紹介いただきました。
サケ鼻軟骨抽出プロテオグリカン(PG)の摂取は、全身性の炎症に働くことが分かっています。これに関して、善玉菌である乳酸菌の増加を通して免疫を調節している可能性が示唆されました。
さらに、皮膚常在菌の悪玉菌である黄色ブドウ球菌からオートファジー抑制作用を持つ因子が放出されていることについてご紹介頂きました。
黄色ブドウ球菌が産生するは毒素性ショック症候群毒素-1(TSST-1)は未知の受容体に直接結合し、非免疫細胞内に侵入することが報告されています。浅野先生は、TSST-1がオートファジーの抑制に働くことを発見しました。この発見は、黄色ブドウ球菌の宿主細胞持続慢性感染のメカニズムの解明につながるものです。アトピー性皮膚炎の患者では黄色ブドウ球菌の慢性的な感染が知られ、今回の発見は、今後の皮膚感染症研究への展開も期待できる知見であると思われます。