2024.08.02
「Advanced Therapeutics」に論文掲載
「Advanced Therapeutics」 に弊社研究員が執筆した論文が掲載されました。
題名
「KS-133/KS-487 Nanoparticles Exhibit Potent Antitumor Effects through Synergistic LRP1 Targeting and VIPR2 Inhibition: Therapeutic Nanoarchitectonics for Solid Tumors」
(LRP1標的化とVIPR2阻害の相乗効果によるKS-133/KS-487ナノ粒子の抗腫瘍活性:固形癌治療のためのナノアーキテクトニクス)
要旨
VIPR2は統合失調症などの精神障害、乳癌転移、および癌免疫賦活化に関与する創薬ターゲットである。我々は過去に、VIPR2拮抗ペプチドKS-133がマクロファージの極性を腫瘍攻撃性のM1型に変化させ、KS-133徐放ナノ粒子(NP)がマウス大腸癌細胞(CT26)に対してin vivoで抗腫瘍効果を示すことを報告している。本研究では、KS-133 NPの抗腫瘍効果を高めるために、CT26細胞に発現するLRP1を標的とするペプチドKS-487との組み合わせを検討した。蛍光色素ICGを内包し、KS-487を提示するNPをCT26皮下腫瘍を有するマウスに皮下投与したところ、KS-487を含まないNPの投与に比べて、CT26腫瘍内でのICGの蓄積が有意に増加した。KS-133を内包し、KS-487を提示するNP(KS-133/KS-487 NP)は、CT26皮下腫瘍を有するマウスにおいて用量依存的な抗腫瘍効果を示し、この効果はKS-487を含まないKS-133 NPよりも強力であった。さらに、KS-133/KS-487 NPの投与によって、CT26腫瘍にCD8陽性T細胞およびマクロファージが顕著に浸潤することを確認した。KS-133/KS-487 NPはLRP1標的化により効率的にKS-133をCT26腫瘍に送達し、VIPR2シグナル伝達の阻害を通じてCD8陽性T細胞やマクロファージなどの免疫系細胞を活性化し、抗腫瘍効果をもたらすことが示唆された。これらの結果は、KS-133/KS-487 NPが固形腫瘍治療のための治療候補となり得ることを示している。
詳しくは、「Advanced Therapeutics 2024, 2400278.」をご覧ください。
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