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2022.05.18

研究開発・学術発表

「Scientific Reports」に研究論文掲載

 Scientific Reports (2022) に弊社研究員の執筆した下記の研究論文が掲載されました。

題名
「The K-Ras(G12D)-inhibitory peptide KS-58 suppresses growth of murine CT26 colorectal cancer cell-derived tumors」
(K-Ras(G12D)阻害ペプチドKS-58はマウスCT26大腸がん細胞由来腫瘍の成長を抑制する)

要旨
細胞増殖制御因子であるK-Rasの変異は、様々な種類の癌でみられ、重要な創薬標的である。ごく最近、肺癌にみられるK-Ras(G12C)変異体に対する薬剤が上市され、抗PD-1抗体などの他の抗癌剤との併用を検討する臨床試験が進行している。一方で、最も多くみられるK-Ras変異体であるK-Ras(G12D)を標的とした薬剤は、まだ上市されていない。2020年、我々はK-Ras(G12D)阻害性の二環式ペプチドKS-58を見出したことを報告し、K-Ras(G12D)発現性のヒト膵臓癌細胞株PANC-1由来のマウス異種移植片に対する抗癌作用を示した。今回、KS-58がK-Ras(G12D)発現性の大腸癌細胞株CT26由来のマウス腫瘍に対しても抗癌活性を有することを明らかにした。KS-58はRas経路の主要な下流シグナルであるERKのリン酸化を抑制し、K-Ras(G12D)の機能を阻害することが確認された。しかしながら予想外にも、KS-58は抗PD-1抗体と併用した場合、相加的または相乗的な抗癌作用を示さなかった。形態学的解析および免疫染色により、単剤および併用療法を受けたCT26由来腫瘍のCD8+細胞の浸潤やPD-L1発現レベルには明らかな差が認められなかった。一方で、KS-58は血中安定性が高く(血中半減期は約30分)、全身への副作用がないことから、大腸癌に対するリード分子となる可能性が示唆された。


詳しくは、「Scientific Reports (2022) 12:8121(DOI: 10.1038/s41598-022-12401-3」をご覧ください。


【関連リンク】 Scientific Reports (2022) 12:8121

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