2017.12.10
「2017年度生命科学系学会合同年次大会」にて研究発表。プラセンタエキス
一丸ファルコス株式会社は、2017年12月6日~9日の4日間、神戸ポートアイランドにて開催された「2017年度生命科学系学会合同年次大会 Consortium of Biological Sciences 2017(ConBio2017)」 において、下記の研究成果を発表いたしました。
記
2017年12月7日(木)ポスター発表
[2P-1256]
プラセンタ抽出パウダーから得られたエキソソーム様小胞体による老化ヒト正常線維芽細胞の複製寿命の延長
髙山和江*、福永早央里、大野真貴*、岡本知也*、坪井誠*、田原栄俊(*一丸ファルコス株式会社)
FJ2431
プラセンタ抽出物パウダーに含有する小胞体の老化線維芽細胞への作用
【背景】
プラセンタ(胎盤)抽出物は美容効果や健康効果をねらい、機能性食品に配合されている。プラセンタ抽出物中には、アミノ酸、ペプチド、核酸などが含まれ、それらが相乗的に働き、多様な効果に寄与していると考えられてきた。しかしながら、機能性関与成分の特定や生体内への吸収など、解明されていない点も多く、プラセンタ抽出物による機能性作用メカニズムは完全には説明できていないのが現状である。一方、生体において、胎盤から、脂質二重膜で覆われた直系30-200 nmの細胞外小胞体が分泌され、それらの小胞体により細胞間コミュニケーションを行い、母体の生体恒常性の維持や妊娠状態の制御に働いていることが報告されている。近年、我々は、工業的に製造されたプラセンタ抽出物パウダーに小胞体が含まれ、その中に150種類以上のmiRNAが保持されていることを見いだしているが、それらの機能については未確認であった。
【目的】
プラセンタ抽出物パウダーに含まれる小胞体の機能を明らかにする。
【方法】
プラセンタ抽出物パウダーに含まれる小胞体の形状を電子顕微鏡(TEM)観察により調べた。さらに、老化モデルとして、senescence(80継代以上)またはsemi-senescence(60継代以上)のヒト正常線維芽細胞TIG-3を用い、プラセンタ抽出物パウダーから分離したエクソソームによる細胞の増殖や形態への作用を調べた。
【結果】
プラセンタ抽出物パウダーに直径<100nmの小胞体が含まれていた。Senescenceの細胞において、通常の培養条件ではほとんど細胞増殖が見られないのに関わらず、それらの小胞体は再増殖を誘導した。また、細胞径の減縮も見られ、抗老化様の作用を有することが示唆された。さらに、細胞増殖能力が低下したsemi-senescenceの線維芽細胞に対しても、増殖促進作用が見られた。プラセンタ抽出物から小胞体を除いた画分ではこれらの作用はほとんど検出されなかった。
【結論】
工業的に製造されたプラセンタ抽出物パウダーに含まれる小胞体は線維芽細胞に対して抗老化作用を有することが示唆された。
【関連リンク】 ConBio2017