真皮マトリックスとして知られるコラーゲン線維は、全タンパク質の約30% を占め、皮膚の物性に大きな影響を与えることが知られている。その70–90% を占めるI型コラーゲンは強度を担い、8–21% を占めるIII型コラーゲンはI型コラーゲン線維の太さや柔軟性を調節する。III型コラーゲンは、幼少期の肌に豊富に含まれることから『ベビーコラーゲン』とも称されるが、加齢と共にIII型コラーゲン/I型コラーゲンの比率は減少し、皮膚のしなやかさと柔軟性が失われることが報告されている。今回、我々は、外用塗布による皮膚の若返りを目的として、III型コラーゲンの産生能を促す植物の探索を行った結果、カーネーション（Dianthus caryophyllus L.）の花部より得られた抽出物にその有用性を見出した。本研究では、カーネーションエキスに含まれる活性成分の同定を行い、これを指標として皮膚外用剤に最適な原料を選定することを目的とした。