北海道産・油溶性天然着色素材「シコニックスリキッド MD(J)」
北海道産のムラサキ Lithospermum erythrorhizon Siebold & Zucc. (Boraginaceae)の根より得られる油溶性天然着色素材「シコニックスリキッド MD(J)」の発売を開始しました。シコンの主要色素成分のアセチルシコニンやシコニンは油溶性の成分であるため、シコニックスリキッド MD(J)はミリスチン酸オクチルドデシルを溶剤として使用しています。
化粧品を構成する原料の天然化はますます求められ、着色剤である色素についても同様の傾向にあります。また、最近Z世代を中心に消費財を選ぶ際にSDGsヘの配慮を重視する消費者が増えており、特に化粧品やファッションなどの分野ではその傾向が強いと感じられます。シコニックスリキッド MD(J)は、ほとんどが中国産だったシコン色素の原料植物を北海道に求め、現地の農家の方々と協同で量産化ヘの取り組みを行い、農業者の所得増大や生産基盤の維持をも目指すSDGsに配慮した国産植物原料です。配合した製剤は独特の深い赤〜薄桃色を帯び、古代から気品のある高貴な色として扱われてきたムラサキの逸話を想起させる発色を示すため、製品の差別化にオススメです。
ムラサキの根、紫根(シコン)とは
ムラサキは、北海道から九州、朝鮮半島、中国に自生し、6-7月に白く小さな花を咲かせます。日本では万葉集や古今和歌集に詠まれるほど古くから親しまれてきました。ムラサキの根はシコン(紫根)と呼ばれ、紫色色素を含むため染料としても大変重用されてきました。厩戸皇子(聖徳太子)が定めた冠位十二階制の最高位の冠の色が紫であったことなど、シコンの生み出す紫色は古来、気品のある高貴な色として扱われてきました。
シコンは漢方としても利用され、中国最古の本草書(薬物書)である神農本草経にも収載され、解熱や解毒、抗炎症薬として用いられている。シコンが配合される最もよく知られる漢方薬は、華岡青洲が発明した軟膏「紫雲膏」で、痔や火傷、湿疹の治療に使われています。
原料植物ムラサキの国産化
シコンの基原植物であるムラサキは、かつては日本各地に生育し、いろいろな場面で利用されてきましたが、生育環境の悪化により数を減らし、野生種は絶滅危惧種に指定されているところもあるほどです。またかつては国内栽培も盛んでしたが、今では中国産のものが主流となり、国内での栽培技術も廃れてきたともいわれています。
当社では、国産原料の持続可能な確保を目指し、ムラサキ(シコン)の生産について、2017年より北海道石狩郡当別町で活動する「当別薬用植物栽培研究会」と協同で量産化への取り組みを行ってきました。
「当別薬用植物栽培研究会」は、地元の北海道医療大学や北石狩農業協同組合の協力を受けながら、当別町の基幹産業である農業をブランド化、6次産業化を推進するため、当地で活動する若い農家の集まりです。
着色剤としての応用
シコンは古くから化粧品の着色料としても用いられてきました。製剤の形態やpHによって色の出方に違いがあるため、シコニックスリキッド MD(J)をpH4-9の化粧水とクリームに0.1%または1%配合し、着色傾向を観察しました。pHによるある程度の変動と、天然原料に由来するLotによる多少の色調の違いは予想されますが、配合した製剤は独特の深い赤〜薄桃色の発色を示しました。
シコニックスリキッド MD(J) 製品概要
製品名:シコニックスリキッド MD(J)
表示名称(化粧品):ミリスチン酸オクチルドデシル、ムラサキ根エキス
表示名称(医薬部外品):ミリスチン酸オクチルドデシル、シコンエキス
INCI:Octyldodecyl Myristate, Lithospermum Officinale Root Extract
IECIC 2021:辛基十二醇肉豆蔻酸酯,白果紫草(LITHOSPERMUM OFFICINALE)根提取物
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